2日目の音読法とアプリの使い方

 

1.どうして覚えられないのか? 
  脳の仕組みを理解する

「毎日10単語ずつ覚えよう。10日で100語、100日で1000語!」
多くの人がこういうやり方で覚えようとしています。しかし実は、これは脳の仕組み上不可能な覚え方なのです。
なぜこうした覚え方が原理的に無理なのか、まずはそこからお話しましょう。

 

お使いを頼まれた際の買う物やレジで言われた金額は、その時だけ必要な記憶です。
こういった記憶は「短期記憶」といい、用が済みしだい徐々に忘れるようになっています。
逆に自分の生年月日や住所など、脳が大切だと認めた情報だけ「長期記憶」として脳に保存されるのです。

記憶には「短期記憶」と「長期記憶」がある!

 
ではどうすれば長期記憶化することができるのでしょう?

実は脳の中には長期記憶にするか否かを審査する器官があります。
海馬タツノオトシゴ に似た形をしていることから 海馬 かいば と呼ばれています。この海馬が"長期記憶の保管庫"の前に門番として立っており、長期記憶にするかどうかの審査をしているのです。

では海馬は何を基準に長期記憶に「する/しない」を決めているのでしょう? 

簡単に言うと、その審査基準は「数日間に渡って何回も来た情報か否か」です。

海馬


海馬は入ってきた情報を「一時的に」自分の所で保持しますが、しばらく同じ情報がやって来ないと「重要な情報ではない」と判断してその情報を捨ててしまいます。逆に連日に渡って何度も同じ情報が来ると、「何度も来る、ってことは今後も使う情報に違いない」と判断して長期記憶の保管庫(大脳皮質)に移します。限りがある脳の記憶容量を無駄なデータで埋め尽くさないようにするための工夫です。

このように、長期記憶にするには「数日間に渡って」「同じ情報を」脳に送り込んでやればいいのです(「百式」が7日間連続して音読するのはこのためです)。逆に言うと同じ情報を数日間送り込んでやれば、覚えたくなくても覚えてしまいます


単語は数日間繰り返さない限り長期記憶にならない


 

ですから、最初に挙げた「毎日10個ずつ覚えて10日で100個」なんてことは机上の空論、原理的に無理なのです。10日後には1日目に覚えたはずの単語を忘れています。10日後ならまだ良いかもしれませんが、それが1か月後、1年後になったら? 覚えているはずありません。「短期」記憶ですから。短期記憶で覚えていくやり方は、ザルで水をすくうようなものです。覚えては忘れ、覚えては忘れの繰り返しで、多くの人が英語をあきらめてしてしまう一因となっています。

*ちなみに「宇宙人を見た!」というような「インパクトのある情報」も長期記憶化されます。



2.アプリの使い方(2日目)


― Point 1 ―

2日目の音読法は昨日と同じです
昨日と同じ100語(「7日間トライアル」中は50語)を20分間、テンポ良く音読していってください【参考音源】。
音読に「適度なスピード」が必要なのは、印象が残っているうちに最初の単語に戻れると定着が良くなるからです。
ただし無理に急ごうとしてはいけません。無理にならない範囲で速く読もうと心がけていればOKです。それで自然と、いつのまにかスムーズに音読できるようになります。


― Point 2 ―

今日も身に付いている感じはほとんどしないはずですが、でもそれは長期記憶化の途中だからです(逆に1日2日で単語を覚えたというのはおかしいのです。短期記憶にしかなっていません)。

― 今日使うボタン ―

「発音記号ボタン」は昨日のままでOKです(もちろん変更も可)。
「連続再生ボタン」も使いませんが、音読時間とは別に音源を再生して聴く(必須ではありません)と音読がスムーズにできるようになります。家では音読、通学通勤時間などに音源を聴く、これを「並行聴き」といいます。「並行聴き」する際は聞き流しでは効果はありません。音源に合わせて頭の中で一緒に唱えながら聞くと効果大です!

 

― 注意!―


「空いた時間にやろう」は失敗への一歩目です。時間は「空き」ません。「空ける」ものです。継続のコツは、あらかじめいつ音読するのかを決めておくことです。できれば予備の時間もあるといいですね。最初の予定時間に急用が入っても、もう1つの予約枠で取り戻せます。手帳を出して邪魔が入りにくい時間帯を探しましょう!

ではよい音読を!
(音読をする20分間はひたすら音読のみに集中です!)